アレルギー発症のしくみ

犬の皮膚疾患のおよそ50%が
“アレルギー性皮膚炎”
と診断されると報告されています。

アレルギー性疾患は年々増加傾向を示しており、
飼い主のアレルギーへの関心も高くなっています。

アレルギーの発症には、
遺伝的、免疫学的、環境的、腸管粘膜バリア機能の障害、食物アレルゲンの特性、腸内細菌叢の異常
などの様々な要因が関与しています。

一つだけの要因で
アレルギーの獲得が起こるわけではなく、
いくつもの要因が複雑に関連することで
アレルギーの発症に至ります。

犬のアレルギーには、
環境アレルゲンおよび食物アレルゲンに
IgEが反応して起こるアレルギーと、
食物に反応する
リンパ球によって起こるアレルギー
の2つのタイプがあります。

IgEによって起こるアレルギーでは、
アレルギー症状が発症するのは、
早くても6か月齢以降であり、
多くの場合2~3歳頃に発症
すると考えられています。

一方で、
リンパ球によって起こる食物アレルギーは、
早ければ生後2~3か月齢から発症
します。

こうした発症年齢の違いは、
IgEが少量のアレルゲンの侵入により
産生されるのに対して、
リンパ球は大量のアレルゲンに対して
産生されることによります。

 

環境中や空気中に存在する環境アレルゲンが
皮膚に蓄積したり、
食物アレルゲンが口の周囲に付着したりすることで、
皮膚からアレルゲンが侵入して
IgEの産生が開始されます。

皮膚からアレルゲンが侵入する場合、
種類に関係なく
皮膚に付着するその量は極めて微量です。

さらに、花粉などのアレルゲンは
季節ごとに飛散量に増減があるため、
アレルゲンが体内に侵入して
IgE濃度が発症レベルに達するまでには
ある程度の年月がかかります。

 

一方、リンパ球によって起こるアレルギーは、
食物アレルゲンが腸管粘膜から吸収され、
それに対して反応するリンパ球が出現することで
アレルギーが獲得されます。

口から入る食物アレルゲンの場合、
その量は非常に多くあります。

さらに、犬や猫であれば
フードとしてほぼ毎日同じものを食べているため、
短期間のうちに大量の食物アレルゲンが
体内に入ります。
よって、リンパ球によって起こるアレルギーは
離乳期に獲得され、
1歳未満で発症する場合が多くあります。

 

アレルギーの発症年齢は、
こうしたアレルゲンの
侵入経路曝露量
が関わっています。

なお、アレルゲンが皮膚から侵入するためには、
皮膚バリア機能が破綻する
様々な要因が必要となります。

上皮のバリア機能低下や、
掻き壊しによる物理的障害
界面活性剤による化学的障害
などによって
アレルゲンが上皮を通過しやすくなります。

適切にアレルギー性皮膚炎を管理していくためには、
アレルギーの種類を考慮する必要がありますねビックリマーク

 

~毎日を人とペットのWell-beingな生活に~
Wellbe Laboでした❣

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