アレルギーとアトピー、治療の違い

「アレルギー」も
「アトピー(犬アトピー性皮膚炎)」も
獣医師もご家族も良く使う言葉ですね。

犬の代表的なアレルギーは食物アレルギーです。
獣医師が食物アレルギーを診断した時に、
最初に考えることは「抗原回避」です。

アレルギーの原因となる抗原を避けるために、
現在食べている食事内容をご家族から
詳細に聞き取ります。
そして、その食事に入っている以外のタンパク質を
与えるようにすることが
治療の最初の第一歩になります。

すなわち、
アレルギー自体を薬で抑えるのではなく、
アレルギー反応の抗原となる
アレルゲンを取り除くこと

が行うべき治療の主体です。

 

 

一方、犬アトピー性皮膚炎は、
皮膚が環境中の様々なものに対して
過剰な免疫反応を示し、
特徴的な兆候を示すものです。

日本の犬のアトピー性皮膚炎の約90%以上が、
ハウスダストマイトである
コナヒョウヒダニ”、“ヤケヒョウヒダニ
に対して起こる免疫反応です。

それでは、その環境から
原因となるハウスダストマイトをなくしたら
症状が完全に治るか
というと、
そうとは言い切れないところが
治療が難しい所以です。

なぜ、犬アトピー性皮膚炎は治らないのか?
原因の一つは、
皮膚のバリア機能の異常
いわゆる「敏感肌」です。

 

アトピー性皮膚炎の場合、
コナヒョウヒダニ、ヤケヒョウヒダニに対して
免疫反応が起こります。
免疫反応が起きるということは、
免疫に関与する細胞と
抗原であるダニが出会わなければなりません。

出会うためには、
・ダニが表皮に潜り込むか
・真皮に存在する免疫細胞が表皮まで手を伸ばすか
のどちらかの手段しかないはずです。
ところが、出会いの原因となるものが
皮膚のバリア機能の異常です…。

皮膚のバリアが破綻することによって、
その個所からダニが表皮の下に潜り込む
ということが知られています。
免疫細胞は表皮の下まで手を伸ばすことができるため、
そこで抗原であるダニを捉えることによって
アレルギー反応が誘発される
ということです。

 

この複雑な病態を管理するため、
私たちはスキンケアをはじめ、
抗原回避悪化因子の除去
といった様々な治療に取り組むことになります。

ここで、きちんと管理するために大事なのが
まずは痒みを管理することです。
治療に際して、掻かせない舐めさせないことが
大切な要因となります。
つまり、アトピー性皮膚炎の治療の最初の一歩は
“痒み止め”です。

 

犬アトピー性皮膚炎は、
生涯にわたって
付き合わなければならない疾患です。
また、年齢を重ねることで悪化する
場合があります。

患者である犬は、生涯にわたって
痒み止めを飲まなければいけない可能性がある
ということになります。

生涯にわたって内服するのであれば、
その犬にとって
副作用や有害事象がないもの、
もしくは少ないものを使用する

必要があります。

また、スキンケアを筆頭に、
抗原回避や悪化因子の除去といった
様々な治療に取り組むことで減薬する
必要もあります。

治療には、飼い主、獣医師、
関わるあらゆる人たちの
協力と理解が不可欠です!

 

 

~毎日を人とペットのWell-beingな生活に~
Wellbe Laboでした❣

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