アレルゲン間の交差反応

スギ花粉飛散のニュースよりも早く、

日によっては既に違和感を覚える人もいて、

身体は花粉を敏感に察知しているようです。


アレルギーについては情報も多いはずですが、

未だにアレルゲン間の交差反応については

認知されていないふしがあるようですので、

どうぞお読みください。


交差反応とは、

アレルゲンタンパクと似た構造を持つ

アレルゲンタンパクやアミノ酸配列に

間違って反応を起こし、

アレルギー症状が発現してしまうこと

をいいます。

ヒトではスギ花粉症患者の70%で、

スギ-ヒノキ間の交差反応により

ヒノキ花粉による鼻炎症状が引き起こされることが

知られています。


分類学上近縁の生物間

(例えば米や小麦は同じイネ科)では、

交差反応が起こりやすいと考えられます。

しかし、生物学的に近縁でなくても

アミノ酸配列の相同性が高ければ、

交差反応は起こることがあります

ヒトでよく知られている交差反応が関わる

アレルギーとして、

例えば花粉-食物アレルギー症候群があります。

スギ花粉に対して、ナス科の食物(トマトなど)

による交差反応が有名です。

イヌやネコでは、

ヒトのように交差反応が関連する報告は

多くないものの、

スギ花粉に対してアレルギーを持つイヌに

トマトを与えたところ、30分以内に

唾液、口唇の腫れ、舌の震え、

腹部や耳に痒みを伴う紅潮を

引き起こした例があります


また、分類学上離れている鶏肉と魚の

交差反応の可能性についても報告されています。

鶏肉-白身魚-サケ間で共通のタンパク質が存在し、

それらの中にはアミノ酸配列の相同性が

非常に高いものがあることも分かってきました。

鶏肉-魚間でも交差反応が起こる可能性があります。


ちなみに、ヒトで交差反応がある疾患は

上記の花粉-食物アレルギー以外にも、

・ラテックス-フルーツ症候群

 ラテックスアレルギー患者が、ラテックスと

 アボガド・キウイ・バナナなどの特定の果物間の

 交差反応によってアレルギーを起こす。

・バード-エッグ症候群

 インコやカナリアなどを飼っている人が、

 羽毛や糞中のアレルゲンにさらされると、

 鶏卵や鶏肉を摂取することで発症する。

・魚-鶏肉症候群

 魚アレルギーの患者が鶏肉に対するアレルギーを。

 またはその逆も。

・ポーク-キャット症候群

 猫アレルギー患者が豚肉を摂取することで発症。

などが問題となっています。


交差反応は、

アレルギーを持つ動物すべてに

起こるわけではありません。

交差反応を起こす場合と、起こさない場合があります。

しかし、可能な限り

交差反応も考慮しておくと安心でしょう


例えば、小麦にアレルギーを持つ場合、

小麦に含まれるアレルゲンタンパクのうち

反応するアレルゲンタンパクはそれぞれ異なります。

近縁植物間で類似性の高いアレルゲンタンパクに

反応する場合、同じイネ科である

トウモロコシ、米などと

交差反応を起こす場合があります。

一方、小麦に特異的なアレルゲンタンパクにのみ

反応する場合には、交差反応は起こりません。


反応するアレルゲンタンパクを

個々に把握できれば良いのですが、

イヌやネコの実際の交差反応に関しての詳細が

分かっていませんので、

現状では調べることはできません

動物ではヒトの情報を参考にして、

その可能性を推測しながらケアしていく

必要があります


その個体が

反応する食物そのものを除去する

ことはもちろんですが、

交差反応を起こす可能性のある

近縁の食物も取り除くことで、

交差反応にも対処していきましょう

~毎日を人とペットのWell-beingな生活に~、Wellbe Laboでした❣

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